二人部屋で一人になる晩が多くなった。
学級委員長委員会の活動が最近活発になり出したそうで。
学園長先生のいつもの思いつきで、何か大きなことをするらしい。
三郎も流石に教えてはくれなかった。守秘義務があるのは当然だ。
これまでなら僕が委員会で遅くなることのほうが多かった。
こないだ新刊を仕入れたばかりだし、深夜までかかる活動は緊急の場合を除いて当分ない。
やっと一緒に居れる時間が増える。
そう考えながら仕事をしていた昨日の夜。
入れ違いのように「会議に行ってくる」と言われた今日の夜。

布団から見上げる天井には外の明かりが仄かに反射しており、板目の仕切りに沿って影が出来ている。 横に寝返りを打つと、形だけで敷いてみた相方の布団が目に入る。障子越しに差し込む月光に照らされ白く浮かび上がっている。
こんな夜を過ごしていたのかな。
僕の居ない夜の三郎はどんなことを思ってここに居たのだろう。
僕は、結局君のことばかり考えて過ごしちゃったな。
夜間の実地訓練が始まれば、今日みたいな日はいくらでも在るのだろうが。
静まり返った長屋に戻ってきて、三郎の眠る姿を見てほっとしていた自分。
…三郎もこんなこと思ってくれるのかな?

「そうだといいなー…」

いつの間にか意識を手放していた。
ふと、おぼろな景色の中に、先ほどまで自分の思考を支配していた彼の影が映る。
すると頭部に感じる、包まれているような温もり。

「…さぶ…ろ…?」

夢には温度もあるものなのか…?
一瞬過ぎった疑問はすぐに消え、意識は再び深淵へと沈んでいった。
その直前、耳元で床の撓る音が聞こえた気がした。




(夜もすがら)












二人は互いのことを考えない日はないと思う